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【体験談】共に住んでいた家|離婚協議中の住宅ローン

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本記事は、実際の経験を元にした体験談です。読者の皆様の参考となれば幸いです。

デット

体験談を投稿してくださったのは、ハンドルネーム:彦左さんです。執筆していただき、ありがとうございました。

目次

離婚する友人が住む家

とりあえずソファに腰を下ろすと、人のいない和室が目の前にありました。何もない和室というのは、ひどく寂しく見えるんだな、とぼんやり思いました。

「もう適当に過ごしていいよ、汚してもべつにかまわないんだから」

いくら家の主がそう言ったところで、気まずいものです。離婚した夫婦の家というものは。

明るくて話し上手な友人のことだから、結婚してからも部下を連れて飲み歩いているのも「こいつは元気だね」としか思っていなかったのですが、1年以上複数回にわたって元気なことをしてしまい、奥さんが出て行ってしまったとのこと。

自業自得だよね、とも思いつつ、どこか羨ましくもあり。

離婚するの?

「まぁしょうがないね。だいぶ好きなように生きてきてたからなぁ」

この家は?

「売りに出している。
せめて住宅ローンを完済できるぐらいの
値段で売りたいけどね」

買って何年?

「2年。まだ3,400万、残っている」

いけそうだけどな

「諸費用も借りているんだよ。
売値はギリギリだね」

住宅ローンを借りるときは、家としての売値のほかに、引っ越し費用や登記費用などの諸費用を借りることもできます。だいたい100~200万円ぐらいでしょうか。

彼の場合、マンションの売値3,500万円に諸費用として100万円を上乗せした3,600万円を住宅ローンで借りました

彦左

でもまだ返済がそんなに進んでいないので、ようやく諸費用分を返し終わったぐらいです。

まったく同じ値段で売りに出しても、一度人が住むと中古物件として値段は下がります。それは仕方のないこと。

1人で借りてるの? ペア?

「ペア。あいつが買い取ってくれたら
よかったんだけどな」

嫌だって?

「審査が通らないんだって。
離婚成立するまでは。
そういうもの?」

あぁ、そうか

そういうものです。

離婚協議中の場合は審査を受け付けてくれない銀行がほとんどでしょう。

実は過去に、「妻が離婚を切り出したのは、妻が家を買えると銀行が承認したからだ」という裁判が起こされたケースがあります。八つ当たりみたいなものですが、審査結果が離婚を決意する後押しになったと言われると、銀行としてはつらいところです。

それだけはありません。

銀行は申込する人からの事情しか聞けないため、事実がどこまで正しいかが分からない、というのもあります。

たとえば、ご主人が事業に失敗して財産を差し押さえられそうだから、離婚したことにして財産を切り分けておく偽装離婚とか、

離婚協議書を見たら離婚の理由を作ったのは申込人のほうなので住宅ローンの他に慰謝料や養育費を払わなければいけないという隠れ債務があるとか、

「離婚協議中の住宅ローン」というのは銀行としてもリスク満載なので、受付しません。

うまくいかないもんだな

「地銀とか信金だと、
まだ相談ぐらいは
乗ってくれるっていうけどね」

僕は誰もいない和室を見ながら言葉を探していました。

人の住まなくなった家というのは劣化が進むと言います。実際、空き家にいくと、それがたった1ヶ月の空室であっても壁も床も渇いて、空虚な感じがします。

3LDKのマンションの和室には、まさにそんな空虚さが漂っていました。

心理的瑕疵っていうかさ。
仮に奥さんがこの家を買い取って
子供と暮らしたとしても、
いつかは再婚するかもしれないじゃん。
そんなときに、お前の思い出のある家は、
都合悪いんじゃないかな

「……そうか。俺が買い取るしかないのか」

お前にとっても同じだろう。
この場所は、手放すしかないんじゃないかな

「俺が買い取って、賃貸するのは?」

ダメだね。住宅ローンでそれをやると、
バレたら契約違反で
即刻全額返済を求められるよ

「バレなきゃいいのか」

そりゃそうだけれども。

友人は冷蔵庫から酒を出してきて僕に勧めました。ちらりとみた冷蔵庫の中も、大きさの割には中身はあまり入っていなかったと記憶しています。マヨネーズやタバスコなどの調味料だけが充実していたのが、なおさらここにいた誰かを想像させました。

「もうちょっと話きいてくれよ」

……今日はそのために来たからね

二人で缶を開け、乾杯ということもなく缶をぶつけると、長くて中身のない話が始まりました。

※必ずご確認ください※

本記事は、執筆者の知識と経験に基づいてポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも強要するものではありません。こちらに記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、執筆者・発行体は一切責任を負いかねます。投資・資産運用等における最終決定は、必ずご自身の判断で行ってくださいますようお願い致します。

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