MENU
カテゴリー

退職金受け取り時に賢く節税する方法を解説

  • URLをコピーしました!

最近では、働き方の多様性が話題となり、退職金を出さない会社も増えつつありますが、それでも多くのサラリーパーソンの方々にとって退職の時というのは、まとまったお金(退職金)を手に入れる最大のチャンスと言っても良いかもしれません。

しかしながら、退職金は、その受け取り方によって税金のかかり方が違い、手取り額に差が出てくるのです。では、どんな受け取り方をすればご自身にとってベストなのか?

今回は、この点について詳しく解説します。

この記事を書いた人
木村マネーラボ
ファイナンシャルプランナー
Webライター

「「今日から本気出す」あなたを応援します!」
自動車部品メーカーにてブラジル現地法人へ単身赴任する傍ら、「お金の先生」として社会に貢献していく方法を模索中です。
人生は一度きり。私と一緒に、色々なことに思いっきり挑戦していきましょう!

【主な保有資格】
・ファイナンシャル・プランニング技能士2級
・上級FFA(金融商品フェアアドバイザー)
・日商簿記3級
・知的財産管理技能士3級
・高等学校教諭専修免許(工業)
・TOEIC: 875点(CEFR: C1)


ライターの詳しい情報は、プロフィールをご確認ください。

目次

今回のポイント

  1. 退職金にも税金がかかる
  2. 「退職所得(一時金)」として受け取る場合
  3. 「雑所得(年金)」として受け取る場合
  4. その他注意事項

1.退職金にも税金がかかる

退職金を受け取る時は、税金(所得税と住民税)がかかります。

税金の分類上、まとまった金額を一括で受け取る場合は「退職所得(一時金)」分割して年金形式で受け取る場合は「雑所得(年金)」として扱われます。

それぞれ計算方法が全く異なるため、税額に差が生じてきます。

2.「退職所得(一時金)」として受け取る場合

「退職所得(一時金)」として受け取る場合、課税対象となる所得金額は以下の式で計算されます。

 (収入-退職所得控除)×1/2=退職所得額

なお、退職所得控除の金額については、勤続年数によって決められています。 勤続20年を超えてくると、控除額がUPしているのがお分かりいただけるでしょうか? 

  • 勤続20年以下:40万円×勤続年数(80万円以下の場合は80万円) 
  • 勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
事例

38年勤めた会社を退職して2,400万円の退職金を一括で受け取る場合

{2,400万円-(800万円+70万円×(38-20)年)}×1/2=170万円

木村マネーラボ

退職所得額は、なんと170万円まで小さくなりました!

その後、税額は以下のように決められます。

  • 所得税:累進課税制度(課税前所得額が少ないうちは税率も低く、増えるにつれて税率が高くなる)
  • 住民税:課税前所得額×10%

表.1 所得税額の計算方法

課税前所得額(課税される所得金額)税率控除額[円]
195万円以下5%0
195万円を超え330万円以下10%97,500
330万円を超え695万円以下20%427,500
695万円を超え900万円以下23%636,000
900万円を超え1,800万円以下33%1,536,000
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000
4,000万円を超45%4,796,000

3.「雑所得(年金)」として受け取る場合

「雑所得(年金)」として受け取る場合は、以下表.2の通り、年齢や所得の合計金額に応じて決まります。なお、所得額が一定金額以下ならば非課税です。

※合計所得金額が1,000万円を超える場合は、「(c)控除額」が変わりますが、ここでは言及しません。

表.2 公的年金の所得額の計算方法

公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下
年金を受け取る人の年齢(a)公的年金等の収入金額の合計額(b)割合(c)控除額[円]
65歳未満60万円以下所得金額は0
60万円を超え130万円未満100%600,000
130万円以上410万円未満75%275,000
410万円以上770万円未満85%685,000
770万円以上1,000万円未満95%1,455,000
1,000万円以上100%1,955,000
65歳以上110万円以下所得金額は0
110万円を超え330万円未満100%1,100,000
330万円以上410万円未満75%275,000
410万円以上770万円未満85%685,000
770万円以上1,000万円未満95%1,455,000
1,000万円以上100%1,955,000
事例

65歳の方が、年金(退職金)や厚生年金の収入で年間280万円、それ以外の所得で200万円あった場合

280万円×75%-27.5万円=182.5万円

「公的年金等に係る雑所得の金額」として課税の対象になるのは「182.5万円」です。

ここに、その他の所得や控除などを加味して、最終的な課税前所得額を計算します。

4.その他注意事項

私が色々な方のご相談をお受けする際に、よく質問されるのが以下の2点です。

退職金を受け取る直前になって慌てないように、頭の片隅に置いていただけると幸いです。

「退職所得(一時金)」では、ふるさと納税での税金還付は受けられません

元々「退職所得」は、次の仕事に向けた就職準備や老後の生活資金に充てることを考慮して設定されており、そのもので十分すぎるほどの税制優遇を受けているためです。(それ以外の総合課税の所得に関しては、税金還付の対象となります)

定年で退職金を受け取るときに注意すべきポイント

特に定年で退職金を受け取る方は、以下に示す年金・保険についても存在の有無を確認いただき、受け取るタイミングを検討してください。 

  • DB(確定給付企業年金) 
  • DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金) 
  • 養老保険や個人年金保険

これらをお持ちの方は、60~75歳で広く薄く受け取り、一方で、公的年金(国民年金・厚生年金)の繰り下げ受給をすることにより増額を狙ってみるのも良いかと思います。

木村マネーラボ

年金は相続できないため、タイミングを図るのが難しいですが、、、

最後に

退職金は、一般的には「退職所得(一時金)」として受け取る方が所得額の計算上有利になることが多いですが、その人の年齢・勤続年数・所得で結果が変わるため、「どちらがお得か?」は一概には言えないのが実情です。

また、会社によっては、「雑所得(年金)」受け取りを選択すると、受取時期が来ていない資金を運用する方法を選択できる場合もありますし、「退職所得(一時金)」と「雑所得(年金)」を組み合わせた受け取り方法を選べる場合もあります。

それぞれを組み合わせて、可能な限り控除額の範囲内に収め、課税対象になる所得額を減らせるように考えていきましょう

※必ずご確認ください※

本記事は、執筆者の知識と経験に基づいてポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも強要するものではありません。こちらに記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、執筆者・発行体は一切責任を負いかねます。投資・資産運用等における最終決定は、必ずご自身の判断で行ってくださいますようお願い致します。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次