今回は、前回ご説明した「コア・サテライト戦略」を自分自身の資産運用に取り込んでいただく際、「サテライト部分」としてオススメのアセットクラスをご紹介します。
実際、これらのアセットクラスについて、種類や投資方法はたくさん存在するのですが、少額、かつ、お手軽に始めていただける「コモディティ(純金)」についてご説明します。

この記事を書いた人
木村マネーラボ
ファイナンシャルプランナー
Webライター
「「今日から本気出す」あなたを応援します!」
自動車部品メーカーにてブラジル現地法人へ単身赴任する傍ら、「お金の先生」として社会に貢献していく方法を模索中です。
人生は一度きり。私と一緒に、色々なことに思いっきり挑戦していきましょう!
【主な保有資格】
・ファイナンシャル・プランニング技能士2級
・上級FFA(金融商品フェアアドバイザー)
・日商簿記3級
・知的財産管理技能士3級
・高等学校教諭専修免許(工業)
・TOEIC: 875点(CEFR: C1)
ライターの詳しい情報は、プロフィールをご確認ください。
今回のポイント
- 純金(ゴールド)を保有するメリット
- 純金(ゴールド)への投資方法
1. 純金(ゴールド)を保有するメリット
科学的に「貴金属」と呼ばれている物質は、計8種類あるのですが、純金(ゴールド)に限って歴史を振り返ってみますと、紀元前5千年頃にナイル川で発見され、これまでに約20万トン(プール約4杯分)が採掘されました。残りの推定埋蔵量も約6万トン程度と限られているため、極めて貴重な金属と言えます。
① 価値が0にならない
純金(ゴールド)は、その希少性と保存性(錆びない・燃えない)から、価値は0にはなりません。
皆様も容易に想像できる通り、多くの人が「とても貴重だ」と考えているからなのですが、逆に、世の中に存在する多くの資産は、実は価値が0になったり、毀損してしまう可能性があることからしても、これは大きなメリットと言えるでしょう。これを、「信用リスクがない」とも表現します。
- 紙幣:発行体(国家)が破綻したり、紙幣自体が損壊した場合
- 株式:発行体(会社)が破綻した場合
- 債券:発行体(国家・自治体・会社等)が破綻した場合
- 不動産:戦争や自然災害で損壊した場合

② 有事に強い
有事とは、「戦争・テロ・経済危機等のトラブル」のことです。
純金(ゴールド)は、「有事の金(きん)」と言われており、有事が発生した際は、世界のマネーは純金(ゴールド)に集まる傾向があります。
③ インフレに強い
現在、世界各国は「金融緩和」政策の下、膨大な紙幣を発行する傾向が続いており、世の中に存在しているお金の量が増えています。そうすると、モノの値段(物価)は徐々に上がり、紙幣の価値は下がって行きます。
これを「インフレ」と言いますが、最近では、アメリカだけではなく日本でも物価上昇が顕著ですので、日々の生活の中で実感されている方も多いと思います。
①でもお伝えした通り、純金(ゴールド)は流通量が限られている希少な貴金属ですので、紙幣価値が下がるほど、相対的に純金(ゴールド)の価値は上がって行きます。

2. 純金(ゴールド)への投資方法
次は、お手軽に純金(ゴールド)へ投資する方法をいくつかご紹介します。
ここでは、具体的な店舗や銘柄等の推奨はせず、メリット・デメリットのみをお伝えします。
もし、購入を検討される場合は、以下のキーワードで検索してみてください。
① 純金地金(ゴールドバー・コイン)
トップバッターは、「純金地金」です。店舗で購入できます。
メリット
- とても分かりやすく、かつ、入手する喜びを得られる
- 手元で保管できる
デメリット
- 1kg単位で購入するには非常に高価(手を出しにくい)
- 「スモールバーチャージ(標準の重さの地金にするための再加工賃)」が買い・売り両方向でかかる
- 100g単位やコインで購入すると1kg単位で購入するよりも割高になる
② 純金積立
「純金積立」は、初心者から上級者まで幅広く取り組んでいただけるオススメの方法です。
メリット
- 月額1,000円程度の少額、かつ、ドルコスト平均買いができる
- ご希望に応じてスポット購入も可能
デメリット
- 積立契約を行う場合、年間利用料や購入金額に応じた手数料がかかる
③ 純金を投資対象とするETF・投資信託
これは嬉しいニュースですが、「ETF・投資信託」という形でも投資可能です!
メリット
- 現在お持ちの証券口座で購入可能
- 一部の銘柄は新NISAの成長投資枠に対応
- ETFの場合、「貸株(金利0.1%/年程度)」を狙えるが、以下に述べるデメリットを補完できる程度
デメリット
- 信託報酬が少し高い(一般的に0.4~1.0%/年程度)
④ 金鉱株・商社株
私が好んで投資しているオススメの方法です。
メリット
- 現在お持ちの証券口座で購入可能
- 新NISAの成長投資枠に対応
- 値上がり益のみならず、配当益も狙える!
- 「貸株(金利0.1%/年程度)」を狙える上、信託報酬もかからない
デメリット
- 貴金属で商売しているという意味で、現物価格以上にボラティリティ(変動幅)が大きい
- 企業を投資対象としているので、純金(ゴールド)そのものを持つことと比較して、信用リスクは大きい
最後に
いかがだったでしょうか?
本文中では言及しませんでしたが、コモディティ全体のデメリットとしては、「値上がり益のみで、株式のような配当は出ない」が挙げられます。
また、プラチナや銀などのようなマイナーな商品にも投資可能なのですが、「売りと買いのスプレッドが大きい」事が多く、取引回数が多いと売却益を出しにくい印象を受けますので、まずは純金(ゴールド)から取り組んでみてください。
純金(ゴールド)は、中国やインドのように、歴史的・文化的に生活と密接に繋がっている国のみならず、私たちの資産運用の一部としても、総資産の10%程度を目標に取り入れられることを検討されると良いと思います。そうすることで、資産全体のボラティリティの安定度を高めることができたり、信用リスクを小さくできます。
次章では、深掘りして「コモディティ(原油)」と「不動産(REIT)」について解説して行きます。