ここ1ヶ月程度、トランプ政権による世界的な輸入関税設定の動きにより、株式市場も為替市場も大混乱に陥っており、2024年から地道に積立をして来られた多くの皆様も、一瞬の内に評価益から評価損へ転落してしまっているかもしれません。
しかし、このような政治主導による混乱の時こそ、冷静な対応が求められます。資産保有の握力を強めるためにも、コツコツと勉強して行きましょう。
今回は、資産運用の世界では有名な「コア・サテライト戦略」について解説します。

この記事を書いた人
木村マネーラボ
ファイナンシャルプランナー
Webライター
「「今日から本気出す」あなたを応援します!」
自動車部品メーカーにてブラジル現地法人へ単身赴任する傍ら、「お金の先生」として社会に貢献していく方法を模索中です。
人生は一度きり。私と一緒に、色々なことに思いっきり挑戦していきましょう!
【主な保有資格】
・ファイナンシャル・プランニング技能士2級
・上級FFA(金融商品フェアアドバイザー)
・日商簿記3級
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・高等学校教諭専修免許(工業)
・TOEIC: 875点(CEFR: C1)
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コア・サテライト戦略とは?
コア・サテライト戦略とは、保有している資産において、
- 安定的に運用する「コア」部分
- 積極的にリスクを取って高いリターンを目指す「サテライト」部分
をバランス良く持つことで、大きなリスクを回避しながらリターンを確保しようとする投資戦略のことです。
コア・サテライト戦略では、以下のようなイメージで資産を組み合わせます。
コア部分には、長期・分散を前提とした資産を選びます。
- 価額変動が比較的小さい
- 資産そのものに分散が利いている
- 運用コストが安い
具体的な例としては、インデックス投資信託やETF、債券、保険、定期預金が挙げられます。
運用資産全体の内、コア部分の割合は自由に決めていただいて構いませんが、やはり「コア」となる部分ですから、50%以上をオススメします。
一方で、サテライト部分には、積極的にリターンを狙える資産を選びます。
- 価額変動が比較的大きい
- ナスダックや新興国等、高い収益性・成長性が見込める
- コア部分と値動きの相関性が低い
具体的な例としては、個別株、レバレッジタイプの投資信託やETF、FX、暗号資産、コモディティ、不動産が挙げられます。
こちらは、挑戦してみたい資産に対して、それぞれ5~20%を目安に組み合わせてみると面白いと思います。ただし、資産の種類を増やすほど、管理の手間も増えてしまいますので、「コア部分は100%オルカンで積立のみ」というスタイルも、人によっては最適解になり得ます。

話が横に逸れてしまいますが、実際、資産管理に手間をかけるのは得策ではなく、それよりも、副業等に取り組むことで入金力を上げた方が、最終的にパフォーマンスが良くなる可能性が高いです。
各金融商品のリスクとリターンについて
全ての金融商品には「流動性」、「安全性(リスク)」、「収益性(リターン)」という3つの要素があります。
流動性 | 現金化できるスピード。速い方が「流動性が高い」 |
---|---|
安全性 | 元本割れのリスクの度合い。低い方が「安全性が高い」 |
収益性 | 期待収益の大きさ。大きい方が「収益性が高い」 |
例えば、「普通預金」ですと、ATMへ行けば現金をすぐに引き出せる半面、収益性の面では、金利が上昇傾向であるものの、0.5%/年程度であまり期待できません。
一方、「不動産」ですと、現金化するには時間がかかりますが、商業用物件であれば、不動産の評価額に対し、7%/年以上の賃料収入を得られる可能性があります。
このような形で、これら3つの要素全てを兼ね備えるオールマイティな商品は存在しません。
各金融商品には、それぞれ性格(リスクとリターン)に違いがあり、リスクとリターンには大まかな正の相関(リスクが上がればリターンも高くなる傾向)があります。
以下の表に、ざっくりとした傾向を示しますので参考にしてください。



他のWebサイトでは、順番が入れ替わっていたりするかも知れませんが、あくまで、私自身の経験により並べています。
この表を参考にしながら、自分なりの「コア・サテライト戦略」を立てて行くのです。
実に色々な組み合わせが考えられるので、ワクワクしてきますよね。
各金融商品の相関性について
相関性とは、「2つの資産が、どれほど似た動きをするか?」を示す概念です。
正の相関は、ある資産が上昇すれば、もう一方も上昇する傾向であり、負の相関は、一方が上昇すると、もう一方は下落する傾向です。
「相関係数」は、2つの変数がどれくらい同じ方向に動くかを示す指標で、マイナス1からプラス1の範囲で表します。資産運用の世界では、相関係数が0~マイナスである2つの資産を持つことで、全体のリスクを減らすことが可能となります。
これは、ある資産が下落した場合に、もう一方の資産が価格変動しない、もしくは上昇する可能性があるためです。
この表は、主な金融商品同士の直近10年(ピンク)と直近3年(水色)の相関係数をまとめたものです。
例えば、日本株式と米国株式は、約0.70であり、ほぼ同じ動きをしているのに対し、J-REIT(日本の不動産投信)と米国国債は、相関が0に近く、それぞれがバラバラに動いていることを示しています。
なので、この表を参考にしながら、「コア部分は世界株式で、サテライト部分にJ-REITと米国国債を持ってみよう」といったような戦略を組むと、リスクを抑えながらリターンを狙えるようになります。
最後に
いかがだったでしょうか?資産額が小さい内は、たった1つの商品で運用していたとしても、知識を深めたり、資産額が大きくなるにつれて、違う金融商品へも興味が出てくると思います。
今回の話をよく理解いただいて、次のステップへ進んで行きましょう。
次章からは、少しマイナーではありますが、「コモディティ(貴金属や穀物)」と「不動産(REIT)」について解説して行きます。