借金返済に困っているとき、債務整理という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
しかし、その内容について詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、債務整理の特徴やそれぞれの債務整理のメリットやデメリットを、わかりやすく紹介していきます。
この記事を書いた人
sakubunsensei
Webライター
「役に立つ情報を中立の立場で発信します!」
新潟大学・経済学部経済学科卒業大手流通チェーンの財務部で就労後、出産を機に退職。子育てをしつつ教育業界に転職後にFP2級の資格を取得。企業での講演会やライターとしての執筆を通じ、老後資金や教育資金の形成に関した情報を発信しています。
【主な保有資格】
・FP2級
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債務整理とは?
「債務整理」とは、直接交渉や裁判所への申立てを行い、金融機関などの債権者と交渉する法的手続きの総称です。
債務(借金)の支払期日の延期や、減額・免除を求められます。
- 対象となる借金とは
- 利用できる人とは
- 債務整理の対象にならない借金とは
対象となる借金とは
カードローンや住宅ローンはもちろん、クレジットカードやリボ払い、奨学金といったほぼすべての借金に対して、減額・免除が可能です。
利用できる人とは
債務整理には、利用できる人の年齢や職業などの制限はありません。
ただし、それぞれの債務整理によって、利用できる条件があります。
債務整理の対象にならない借金とは
債務整理は、ほぼすべての借金に対して減額・免除が可能です。
しかし、下記のような借金については、債務整理の対象にはなりません。
- 税金
- 社会保険料
- 下水道利用料金の滞納分
- 婚姻費用や養育費
- 罰金や刑事訴訟費用
ただし、これらはあくまでも一例です。
債務整理を本気で考えたときには、法律の専門家に相談して、自身の債務が対象かどうかを確認しましょう。
債務整理の4つの種類
債務整理には以下のような4つの種類があり、それぞれにメリットやデメリット、利用に向いている人の特徴などがあります。
- 任意整理
- 特定調停
- 個人再生
- 自己破産
任意整理
債権者自身が、今後発生する予定の利息や遅延損害金の免除を求めて、債権者と直接交渉を行います。
手続きが比較的簡便で費用も低額で済み、弁護士に依頼しなくても利用しやすいというメリットがあります。さらに、財産を処分する必要がないので、家族や会社にバレにくい傾向があります。
しかし、元金の返済義務は継続する上、借金完済から5年程度はクレジットカードが利用できないというデメリットもあります。
さらに、和解に応じない債権者もおり、大幅な減額の実現は難しくなります。
成立しても元本を返済する義務は継続するので、借金総額が比較的少ない人に向いています。
特定調停
簡易裁判所の調停手続きを利用して、原則として今後発生する予定の利息や遅延損害金の免除についての交渉を行います。
裁判所の調停委員を介して債権者と交渉するので、弁護士を依頼する必要がないというメリットがあります。
また、日本信用情報機構(JICC)に登録されますが、3年たって削除されれば、新たな借入れやクレジットカードの利用が可能になります。しかし、平日の日中に裁判所へ赴く必要があり、家族や会社に怪しまれるリスクがあります。
さらに、債権者全員から同意を得る必要があり、同意の回答がない場合には不同意とみなされるデメリットがあります。
自分で交渉することは避けたいが、弁護士費用を支払う余裕がないという人に向いています。
個人再生
借金返済が不能であることを裁判所に申し立て、認可を受けることで借金を大幅に減額してもらいます。
借入や資産の状況によりますが、借金総額を最大で10分の1にまで減らせるというメリットがあります。さらに、条件はありますが、車や自宅を持ったままでいられる場合もあります。
自己破産と同様に金額の大きな借金への対応が可能です。その代わり100万円以下に減額してもらえることがないため、借金総額が低額の場合には恩恵を受けにくくなります。
さらに、減額後の借金は3年~5年で分割返済することになるので、認可されるためには継続的な収入が条件になることがデメリットです。
自己破産が持つ大きなデメリットを回避したい人に向いています。
自己破産
裁判所の手続きを利用することで、借金の返済義務をすべて免除してもらいます。
債権者からの請求や督促、それまでの借金の返済をする義務がなくなるということがメリットです。さらに、収入についての制限もなく、「支払いが困難である」と認められれば、誰でも自己破産できます。
しかし、債務者本人の義務はなくなりますが、保証人や連帯保証人は返済義務を免れることができないというデメリットがあります。
さらに、”ブラックリスト“に載ることはもちろん、自己破産したことが官報に掲載され、お金を貸してくれている友人や親族にも裁判所から破産手続に関する通知がいってしまいます。
4つの債務整理の中でもっともデメリットが大きくなるので、利用する際はよく検討する必要があります。
自宅などの財産を所有していない人や生活保護を受けている人などに向いています。
まとめ
借金がなくなる場合もある債権整理ですが、種類によってはデメリットの方が大きい場合もあります。
あくまでも、債権整理は最後の手段です。 日々の返済について見直しを行い、計画的な借金返済をめざしましょう。