債務整理の中でも、ハードルが高めの「個人再生」。
得られる効果は大きいですが手続きが複雑であり、注意するべき点も増えてきます。
この記事では、個人再生の特徴やメリットとデメリット、注意点などをわかりやすく紹介していきます。
この記事を書いた人
sakubunsensei
Webライター
「役に立つ情報を中立の立場で発信します!」
新潟大学・経済学部経済学科卒業大手流通チェーンの財務部で就労後、出産を機に退職。子育てをしつつ教育業界に転職後にFP2級の資格を取得。企業での講演会やライターとしての執筆を通じ、老後資金や教育資金の形成に関した情報を発信しています。
【主な保有資格】
・FP2級
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個人再生とは
債務整理の一つである「個人再生」では、借金返済が不能であることを裁判所に申し立て、借金を減額してもらうことができます。
裁判所からの認可が下りると、以下のようなことが可能になります。
- 借金の減額(5分の1~10分の1程度)
- 3〜5年(36〜60回)程度の分割払い
ただし、利用に関しては、以下のような条件があります。
- 住宅ローンを除いた借金総額が100万円以上5,000万円以下
- 3~5年で返済できる見込みがある
ここでは、個人再生について詳しく解説します。
- 個人再生の2つの種類とは
- 個人再生に必要な期間と手続きとは
- 個人再生がおすすめな人とは
個人再生の2つの種類とは
個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という、2種類の手続きがあります。
小規模個人再生は、おもに個人商店主などを対象とした手続きですが、会社員でも利用は可能です。いずれかを選択したうえで申立てしますが、最終的には裁判所が判断します。
小規模個人再生は、給与所得者等再生よりも総額の返済額が軽減されるケースが多いため、債務者にとっての利益が大きくなります。ただし、債権者からの反対があると成立しません。
そのため、債権者からの反対が想定される場合には、最初から給与所得者等再生を選択することがおすすめになります。
個人再生に必要な期間と手続きとは
個人再生を弁護士に依頼してから再生計画の認可までの期間は、1年〜1年半程度とされています。
また、個人再生では弁護士への依頼が必要になります。そのため、弁護士への依頼と委任契約を済ませると、ほとんどの手続きを弁護士が行うことになります。
弁護士と協議して作成した「再生計画案」が認可されると、認可決定が確定した翌月から残りの借金の返済がスタートします。
個人再生がおすすめの人とは
個人再生では、借金総額が大きくなるほど、減額幅が広くなります。ただし、「借金額が5000万円未満であること」が条件の1つに設けられています。また、自己破産と違って、家や車といった資産価値の高い財産が処分されることはありません。
そのため、借金額が5000万円未満で、自宅や車を手放したくないと考えている人におすすめとなります。
個人再生のメリットとデメリット
個人再生にはメリットがありますが、大きなデメリットもあります。
- 個人再生のメリットとは
- 個人再生のデメリットとは
- 個人再生はカードローン審査に通るのか
個人再生のメリットとは
個人再生の代表的なメリットは、以下のようなものになります。
- 借金の元本を減額できる
- マイホームを残せる
- 借金の理由が問われない
任意整理や特定調停と違って、個人再生では借金の元本を大幅に減額できます。
また、原則的に財産を処分されないので、自宅を手放すことも避けられます。住宅ローンが残っていても、条件をクリアしてローンの返済を続けることができれば、そのまま住み続けることが可能です。
さらに、自己破産の場合、浪費やギャンブルが理由の借金は対象にならない場合があります。しかし、個人再生では、どんな理由の借金でも減額の対象となります。
個人再生のデメリットとは
個人再生には、以下のようなデメリットがあります。
- 信用情報機関に事故情報が載る
- 証人・連帯保証人に一括請求がいく
- 官報に住所・氏名が載る
他の債務整理と同じように、個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されます。
また、特定の借金だけを選んで手続きを行うことができず、保証人には効力を有しません。そのため、保証人や連帯保証人に請求が届いてしまいます。
さらに、「官報」という国の機関紙に住所や氏名などが載るのもデメリットです。官報を閲覧する職業に就いている人は、そこから会社バレするリスクが高まります。
個人再生はカードローン審査に通るのか
個人再生の場合も、他の債務整理と同じように、借金を完済してから5年間はカードローンの審査に通る可能性が低くなります。
しかし、絶対にできないとは言い切れません。リボ払いなどのクレジットカードの発行は、審査の基準が緩い場合もあります。どうしても必要な場合はこのようなクレジットカードを検討することも選択肢の一つになります。
ただし、リボ払いは金利が高い場合も多いので、新たな借金の原因にもなりかねません。
利用の際には、慎重に検討するようにしましょう。
個人再生は家族バレ・会社バレするのか
個人再生では、裁判所に提出する「家計収支表」に、家計を同一にしている人全員分の収支を書き込む必要があります。そのため、家族バレを避けることは難しいと考えられます。
また、退職金が出る会社で働いている場合には、会社から「退職金見込額証明書」を発行してもらう必要があります。そのため、発行を依頼した時点で、会社バレするリスクが非常に高くなります。
個人再生の注意点とは
個人再生は、借金で困っている個人や個人事業主のためにつくられた制度なので、法人は利用できません。
また、保有している財産の処分は行われません。しかし、高額な財産を保有している場合には、毎月の返済が高額になる恐れがあります。とくに、高額な自家用車を所有している場合には注意が必要です。
高額な財産を保有している場合は、それらを売却するなどして、任意整理や特定調停による解決を図ることもおすすめです。
まとめ
個人再生を行う際には、弁護士に依頼することが必要になります。すると、高額な費用がかかり、減額される金額と変わらないような場合もあります。
個人再生の利用を考えた際には、かかる費用と減額される金額の試算を行うようにしましょう。