第4章では、副業で得られるメリット(事業所得と経費計上)についてご説明します。これまでに色々な控除をご紹介してきましたが、会社員が活用できる控除には限りがあり、「全てを使い切るのは難しそうだな」と感じられたことでしょう。そこで、是非とも学んでいただきたいのが今回の内容です。
「本業での給与所得」と「副業での事業所得」をうまく組み合わせ、これから来る大増税時代に賢く備えていきましょう!

この記事を書いた人
木村マネーラボ
ファイナンシャルプランナー
Webライター
「「今日から本気出す」あなたを応援します!」
自動車部品メーカーにてブラジル現地法人へ単身赴任する傍ら、「お金の先生」として社会に貢献していく方法を模索中です。
人生は一度きり。私と一緒に、色々なことに思いっきり挑戦していきましょう!
【主な保有資格】
・ファイナンシャル・プランニング技能士2級
・上級FFA(金融商品フェアアドバイザー)
・日商簿記3級
・知的財産管理技能士3級
・高等学校教諭専修免許(工業)
・TOEIC: 875点(CEFR: C1)
ライターの詳しい情報は、プロフィールをご確認ください。
今回のポイント
- 事業所得を申告すると経費も計上できるようになる
- 「青色申告特別控除」として、最大65万円の控除が使えるようになる
- 副業の事業収入には社会保険料がかからない
事業所得を申告すると経費も計上できるようになる
皆様も1度は「個人事業主」という言葉を聞かれたことがあるのではないでしょうか?
「個人事業主」とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことを指します。法人のように初期費用・固定費用などはかからず、「個人事業の開業届」を税務署へ提出するだけで個人事業主になることができます。
そして、事業を運営する上で経費として計上できるものは実にたくさんあるのですが、主だったものだけを挙げても以下の通りです。
計上可能な経費の例
種類 | 内容 |
---|---|
給料賃金 | 個人事業を営むに当たり、従業員へ支払う給料や手当 |
外注工賃 | 外部業者に仕事を発注した際に払う手間賃や下請賃料 |
減価償却費 | 償却資産を購入した費用を耐用年数に応じて計上する経費(建物・設備・自動車・PC等) |
地代家賃 | 事業で使用している土地または建物の賃借料(住宅兼事務所でも按分できます) |
租税公課 | 国税や地方税などの「租税」と、国や地方公共団体、その他公共団体に納める罰金や会費に当たる「公課」であり、身近なものですと、自動車税・固定資産税・印紙税等、複数あります |
荷造運賃 | 商品を出荷したりする際に購入した梱包資材・サービス料 |
水道光熱費 | 水道代・ガス代・電気代等、事業運営に必要なエネルギーに要する経費 |
旅費交通費 | 運賃・宿泊費等、事業運営に必要な経費 |
通信費 | 電話・インターネット・スマホ月額料等、事業運営に必要な経費 |
広告宣伝費 | 広告・宣伝等、事業運営に必要な経費 |
接待交際費 | お客様の接待・事業運営に必要な研修会後の食事会費等 |
損害保険料 | 事業に用いる財産にかける保険料。身近なものですと、住宅総合保険・自動車保険等 |
消耗品費 | 主に事務用品を購入した際などに使われる経費。取得価格が10万円未満、もしくは耐用年数が1年未満の物品等 |
図書研究費 | 事業に関する書籍代・セミナー費等 |
年会費等 | ある団体に所属するための年会費やソフトウェアのサブスク等 |
いかがでしょうか?「えっ、普段の生活で使っているようなものまで計上できるの?」と思われるくらい、身近な費用が多いですよね?そうなのです。
個人事業主になると、「事業運営に使用したと明確に説明できるもの」に限り、経費として計上できます。
「青色申告特別控除」として、最大65万円の控除が使えるようになる
個人事業主は、開業届を提出しない場合でも、基本的に事業所得として扱うことができます。ただし、「最大65万円の青色申告特別控除」は「青色申告」のみで利用でき、未提出の個人事業主は特別控除のない「白色申告」をすることになります。
よって、「個人事業の開業届」に加えて、年間65万円以上の利益(所得)が得られそうだと想定される年度からは、「青色申告承認申請書(提出期限の条件あり、青色申告しようとする年の3/15まで)」も提出できれば、今年度の確定申告以降、最大65万円の控除が受けられるようになります。
(節税できる所得税・住民税額の目安は、前の章をご参照ください。確定申告をする際、正確な金額を計算できます)
青色申告のメリット(簿記の方法と控除額について)
白色申告 | 簡易簿記 | 控除なし |
---|---|---|
青色申告 | 簡易簿記 | 10万円控除 |
現金式簡易簿記 | 10万円控除 | |
複式簿記 | 55万円控除 | |
複式簿記 +電子帳簿保存 | 65万円控除 |
副業の事業収入には社会保険料がかからない
私自身も、この点に関して多くのご相談者から質問をいただきますが、副業をやっておられるサラリーパーソンの「社会保険料」は(給与+事業の)合算課税所得ではなく、給与収入(標準報酬月額)のみから算出されます。つまり、各種控除で課税所得を減らしたとしても、社会保険料は変わりません。
よって、同額の所得を得るのであれば、出来る限り事業所得として計上できる方が社会保険料は少なくなります。まぁ、正社員・フルタイムで仕事をされている場合は、ご自身の力のみでは、中々コントロールすることは難しいでしょうが、「短時間勤務+事業所得でガッツリと稼ぐ」といったようなテクニックを使うことができれば、社会保険料を低減し、可処分所得を増やすことが可能になるということですね。
最後に
いかがだったでしょうか?
国が主導する働き方改革で会社員の副業解禁の動きが加速している中、事業所得が持つチート級のメリットを生かし、可処分所得を最大化するために、国民全員が個人事業の開業届を提出しても良いのではないか?と思えてきますよね。
人生を変えたい方は、まずは開業届と青色申告の意味と内容をしっかりと勉強し、少しずつでもご自身の生活に取り込んでくださいませ。まずはとにかく申請からトライ!応援しています。