長く続いたデフレ時代も終了し、さまざまな品の値上げが続く現代。
自らの努力によって収入を増やしづらい場合、固定費の削減が節約に有効だということをご存じでしょうか。
この記事では、固定費を削減するため、通信費・光熱費・保険を見直す方法について、わかりやすく紹介していきます。
この記事を書いた人
sakubunsensei
Webライター
「役に立つ情報を中立の立場で発信します!」
新潟大学・経済学部経済学科卒業大手流通チェーンの財務部で就労後、出産を機に退職。子育てをしつつ教育業界に転職後にFP2級の資格を取得。企業での講演会やライターとしての執筆を通じ、老後資金や教育資金の形成に関した情報を発信しています。
【主な保有資格】
・FP2級
ライターの詳しい情報は、プロフィールをご確認ください。
固定費と変動費について
家庭での支出は、大きく「固定費」と「変動費」の2種類に分けられます。
固定費とは
「固定費」とは、一定の期間で必ず発生する費用のことです。
次のような内容が、固定費となります。
- 住居費
- 通信費
- 光熱費
- 保険料
- 車の維持費
- 教育費
- サブスクリプション会費
変動費とは
「変動費」とは、日々の生活に応じて増減する費用のことです。
次のような内容が、変動費となります。
- 食費
- 交際費
- 交通費
- 医療費
- 被服費
- 雑費
節約には固定費の削減が効果的
節約というと、食費などの変動費を削減することを思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、家計の節約をしたい場合、変動費よりも固定費の削減をする方が効果的です。
固定費は高額なものも多く、削減することで節約の効果を大きく実感できます。
さらに、一度見直しを行うと削減の効果が持続するので、ストレスなく節約の効果を得られ続けます。
通信費・光熱費・保険を見直そう
固定費の中でも、とくに金額が大きいものに住居費があります。
しかし、持ち家の場合は、住居費を見直すことは難しくなります。また、通勤や通学といったライフスタイルとも大きく関わるため、気軽な変更が難しい場合も多いものです。
そのため、固定費を削減したい場合には、通信費や光熱費、保険を見直すことがもっとも効果的です。
通信費を見直そう
現代の通信費は、「スマホ費用」と「インターネット費用」に大きく分けられます。
スマホ費用の削減方法
スマホ費用を削減するためには、以下のような方法があります。
契約中のプランを見直す
現在契約しているプランに、不要なオプションがないかを確認しましょう。自宅や職場のWi-Fiを利用できる場合は、現在よりもデータ容量の少ないプランに切り替えることもおすすめです。
格安SIMに切り替える
大手通信会社よりも安いプランがそろっている、格安SIMに切り替えましょう。ただし、SIMカードの装着から設定などを自分で行うため、それらの作業に抵抗がない人におすすめです。
安い端末に切り替える
安い端末に切り替えれば、月々支払う端末の分割払い負担を減らすことができます。さらに、セールやキャンペーンの時期に切り替えれば、もっと安く切り替えられる可能性もあります。
インターネット費用の削減方法
インターネット費用を削減するためには、以下のような方法があります。
回線事業者とプロバイダーを見直す
契約している回線事業者とプロバイダーを、見直しましょう。スマホとセットにすると、割引になる料金プランなどもあるので、スマホとセットで見直してみることもおすすめです。
テザリングオプションにする
自宅でほとんどパソコンを使わない場合は、スマホに「テザリングオプション」をつけることもおすすめです。スマホをWi-Fiルーター代わりにできるので、インターネット回線が不要になります。
通信費を見直すポイント
価格競争の激しい通信業界では、お得で便利なプランが次々と発表されています。そのため、何年も前に契約したプランのままだと、割高なケースも少なくありません。
そのため、通信費の削減には、通信会社やプランを定期的に見直すことが効果的です。
光熱費を見直そう
光熱費の見直しポイントは、「電気代」と「ガス代」です。
電気代の削減方法
電気代を削減するためには、以下のような方法があります。
電力会社を乗り換える
電気代の安い電力会社に乗り換えることを検討しましょう。ただし、ソーラーパネルの売電をしているご家庭や賃貸物件では、電力会社の変更ができない場合があるので注意が必要です。
基本料金を見直す
現行の契約を変更することで、基本料金を削減しましょう。ただし、基本料金は電気のアンペア数によって変わるので、自宅で必要とする電気量に合わせて変更する必要があります。
古い家電を買い替える
消費電力の大きな古い家電を、買い替えましょう。電球の変更も効果が大きく、4LDKの家庭で照明器具をLED照明に買い替えた場合、年間約15,000円の電気代削減につながります。
ガス代の削減方法
ガス代を削減するためには、以下のような方法があります。
ガス会社を乗り換える
プロパンガスだけではなく、都市ガスでも契約する会社を自由に選べます。さらに、2024年からは、賃貸物件や集合住宅でもプロパンガス会社を選びやすくなりました。
ガス機器を見直す
ガス機器の定期的なメンテナンスによっても、使用するガス代を抑えることが可能です。また、節水シャワーヘッドを使用することでも、高い節約効果を実感できます。
都市ガスに切り替える
一般的に、都市ガス料金の方がプロパンガス料金よりも低い傾向にあります。ただし、都市ガスのインフラが整備されていない地域では、契約自体ができないので注意しましょう。
光熱費を見直すポイント
電気とガスをセットで契約すると、料金がお得になる電気会社やガス会社もあります。電気会社やガス会社を変更することは、それほど難しくありません。
簡単に見積もりできるサイトも増えてきているので、ぜひとも検討してみましょう。
保険を見直そう
万一のときに備える「保険」ですが、その保険料が固定費に占める割合は高くなっています。
そのため、必要な保険を見直すことによって、固定費の削減を図ることができます。
保険の種類について確認
保険を見直す前に、保険の種類について確認しておきましょう。個人が加入する保険は、「公的保険」と「民間保険」の2つに分類されます。
公的保険とは
健康保険や国民年金、雇用保険など、国や自治体が運営する保険です。一定の要件を満たす人には加入が義務付けられていて、「加入しない」という選択肢はありません。
民間保険とは
公的保険だけではカバーしきれないリスクに備えるため、希望者が任意で加入する民間保険会社の保険です。金額も大きい場合が多く、固定費としての削減の対象となります。
民間保険の種類について
さらに、民間保険は「生命保険」と「損害保険」の2つに分類されます。
生命保険とは
人の生命に関する保険であり、おもに被保険者の死亡または病気やケガに備える保険です。「第一分野」ともいいます。
代表的な生命保険は、以下のようなものになります。
- 終身保険
- 定期保険
- 養老保険
- 個人年金保険
- 学資保険
損害保険とは
物が損害を受けた時に補償してくれる保険であり、災害や事故によって生じる損害に備える保険です。「第二分野」ともいいます。
代表的な損害保険は、以下のようなものになります。
- 自動車保険
- 火災保険
- 地震保険
- 個人賠償責任保険
第三分野の保険も
生命保険と損害保険、公的医療保険制度だけではカバーしきれないニーズを補完する役割がある保険です。
代表的な第三分野の保険は、以下のようなものになります。
- 医療保険
- がん保険
- 介護保険
- 就業不能保険
公的保険で足りない部分を補おう
保険で固定費を削減するためには、民間保険の費用を削減することが重要です。
そのため、自分にとって必要な保険を見極めるようにしましょう。
公的保険は充実している
公的保険に加入している人ならば、誰もが最低限の保障を受けられます。
ですから、公的保険で足りない保障を、民間の保険で補完するようにしましょう。
高額療養費制度がある
1ケ月にかかった医療費が自己負担限度額を超えた場合、実際の支払いとの差額が払い戻される公的制度があります。
障害年金がある
ケガや病気によって仕事が制限された場合、受給できる年金があります。
失業給付がある
雇用保険の被保険者が失業した場合に、もらえるお金があります。
遺族年金がある
家族を養っていた人や年金に加入していた人が亡くなった時、遺族が受け取れる年金があります。
入っておきたい民間保険は人によって異なる
民間保険は、公的保険の不足を補うことができます。
そのため、入っておきたい民間保険は、家族構成などによって大きく異なります。
独身の人
収入を得られなくなった場合でも独りで生きるリスクに備え、「就業不能保険」の加入がおすすめです。
扶養する家族がいる人
扶養している家族の生活費やお子さんの学費に備え、「定期保険」や「学資保険」の加入がおすすめです。
子が独立した人
受け取る年金の額を増やせる「個人年金保険」や、老後に介護を受ける必要に備えた「介護保険」の加入がおすすめです。
保険の見直し方法
固定費を削減するために行う保険の見直し方法には、以下のようなものがあります。
保険会社を変更する
同じような保障内容でも、保険会社によって保険料が異なります。保険料比較サイトや保険相談会社を利用して、少しでも低価格の保険会社に変更しましょう。
保険料を減額する
ライフステージの変化によって、万一のときに必要な保険の金額は異なります。受け取る金額を少なくすることで、支払う保険料を抑えることができます。
特約を外す
特約がカバーする保障が不要になった場合、特約を外すことで保険料を削減できます。とくに、個人賠償責任保険は重複しやすい特約なので、1つの契約に絞りましょう。
掛け捨て保険にする
貯蓄性がなく支払った保険料が戻ってこない掛け捨て保険は、保険料が比較的低めです。削減できたお金を、貯蓄や投資に回すことも可能です。
まとめ
安易な生活費削減のための固定費の見直しは、かえってデメリットになる場合もあります。
失敗なく固定費の見直しを行いたい場合、FPなど、お金の専門家に相談してみることもおすすめです。